Features一般的特徴

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軽い アルミニウムの最大の特長は「軽い」ことです。アルミニウムの比重は2.7。鉄や銅の約3分の1です。船舶・車両などの交通輸送機関に使われているほか、建築、土木、各種機械の高速回転部品やしゅう動部品の作動効率を高めたり、装置の小型化にも貢献しています。
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耐食性がよい アルミニウムはいつまでも美しく、鉄鋼のような赤錆が出たりしません。その秘密は皮膜の自己修復作用です。アルミニウムは空気に触れると、ち密で安定な無色透明の酸化皮膜を生成するのです。この皮膜が腐食を自然に防止します。
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加工性がよい アルミニウムは加工しやすいため、板、丸棒、パイプ、あるいはオーダーメイドの複雑な形状の断面を持った型材まで素材のラインナップが充実しています。これらの製品素材は切削加工性にも優れ、精密加工もしやすいので金型や機械部品に広く使われています。
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表面処理がしやすい アルミニウムはそのままでも美しい金属ですが、アルマイト処理(陽極酸化皮膜処理)などの表面処理を施すことによってより 美しく、表面を硬く、防食効果を高めることができます。またアルマイトの際にはカラフルな色をつけることも可能です。
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強い アルミニウムは比強度(単位重量当たりの強度)が大きい金属です。またマグネシウム、マンガン、銅、けい素、亜鉛などを添加して合金にしたり、圧延加工や熱処理によって強度を高めることもできます。鋼鉄並の強さを持ち大型構造物の材料になる合金もあります。
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低温に強い アルミニウムは鉄鋼などと違い、液体窒素(マイナス 196°C)や液体酸素(マイナス183°C)などの極低温にも耐えられます。低温プラントやLNG(マイナス162°C)船のタンク材として使われているほか、宇宙開発やバイオテクノロジー、極低温の超電導にも対応できます。
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電気をよく通す アルミニウムは優れた導電体です。電気伝導率は銅の約60%ですが比重は約1/3なので同じ重さの銅に比べて2倍の電流を通すことができます。高電圧の送電線や導体(板・管)、エネルギー利用やエレクトロニクス分野、自動車のワイヤーハーネスにも使われています。
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熱をよく伝える アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍です。熱をよく伝えまた急速に冷えます。この性質を利用して冷暖房装置、エンジン部品、熱交換器、放熱フィンやヒートシンク、飲料缶などに使われているほか、プラスチックやゴムの成形用金型としても使われています。
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光や熱を反射する よく磨いたアルミニウムは、赤外線や紫外線、通信機器から発する電磁波、さらに各種熱線をよく反射します。暖房器の反射板、パラボラアンテナ、照明器具、宇宙服にも使われているほか、鏡面加工を施したポリゴンミラーが光エレクトロニクス製品に使われています。
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磁気を帯びない アルミニウムは非磁性体で磁場に影響されません。この特性を生かした主な製品としては、計測機器や電子医療機器、メカトロニクス機器などがあげられますが、さらにはリニアモーターカーや超電導関連機器にいたるまで、その用途が広がっています。
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毒性がない アルミニウムは、無害・無臭で衛生的です。万一なんらかの化学作用で金属が溶出したり化合物をつくったとしても、重金属のように人体を害したり土壌を傷めたりしないため食品や医薬品の包装、飲料缶、医療機器および家庭用器物などで広く使用されています。
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再生しやすい アルミニウムはリサイクルにおける優等生です。融点が低いので、新地金と比べてわずか3%のエネルギーで品質的にもほとんど変わらない二次地金(再生地金)が再生できます。スクラップ価値も高く、省資源、省エネルギー、地球環境保護に大きく貢献しています。
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真空特性がよい アルミニウムはガス放出率が非常に小さいため、真空到達性能が他の材料と比べて大変優れています。各種高真空ポンプや配管、理化学実験装置などに活用されています。特にIT分野においては高真空ポンプや半導体製造装置の部品として使われています。
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接合しやすい 溶接、ろう付け、リベット接合、接着など、さまざまな方法で容易に信頼性の高い継手が得られます。これらの接合技術の進歩はめざましく、近年では摩擦攪拌溶接やレーザービーム溶接が車両をはじめとする構造部材の接合に活用されています。

Wrought Aluminum合金展伸材性質

Refining調質

アルミニウム合金は冷間加工、溶体化処理、時効硬化処理、焼きなましなどを加えることで、強度や成形性、そのほかの性質を調整することができます。このような操作によって所定の性質を得ることを「調質」と言い、調質の種類を「質別」と言います。以下にJIS規格に規定されている質別とその記号を示します。

Physical Properties物理的性質

アルミニウムの物理的性質は通常の場合、合金の種類や質別にかかわらず、下記の値が用いられる。

密度 ・・・・・・・・・ 2.7Mg/m3(20)
縦弾性係数 ・・・・・・ 70kN/mm2
横(せん断)弾性係数 ・・ 26kN/mm2
ポアソン比 ・・・・・・ 0.33
線膨張係数 ・・・・・・ 24×10-6/°C

わずかの差が問題となるような場合や詳しい値が必要なときは下記の表を参照されたい。

Mechanical Properties機械的性質

アルミニウムの機械的性質は、化学成分および調質により、ごく軟らかいものから鋼鉄並の強さまで大きく変化します。下の表にアルミニウム展伸材の標準的な機械的性質を示します。これらは目安値であり、製造方法や形状によって異なります。

Industrial Standard工業規格抜粋

出典・社団法人 日本アルミニウム協会編 アルミニウムハンドブック(第6版・7版)・JISハンドブック「非鉄」(2018年度版)より抜粋